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大阪地方裁判所 昭和38年(ワ)3997号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、被告日本建設機械に対する第二次的請求について

原告主張日時にその主張のとおり、原告と不二シヨベルが保証委託契約及び根抵当権設定契約を締結し、その登記を了し、その後不二シヨベルが大和銀行から金員の貸付を受けるに際し原告がその保証をなしたが、不二シヨベルが弁済しないため原告が右保証債務の履行として大和銀行に対し右借受金の支払をなし、不二シヨベルに対し右支払金額と同額の求償債権を取得したことはいずれも当事者間に争いがなく、本件建設機械が不二シヨベルの所有に属していなかつたため原告が締結した右根抵当設定契約は無効であることは前段認定のとおりである。

そこで、原告が右抵当権設定契約を締結した前後の経緯について観るに、<証拠>を総合すると、訴外日本車両製造株式会社の総販売代理店である被告日熊工機は被告日本建設機械の仲介斡旋により建設機械等の販売をなしていたが、同被告の大阪支店の仲介で昭和三六年二月一〇日被告日熊工機が不二シヨベルに本件建設機械を前段認定の所有権留保附分割払の約定で売る契約が成立したこと、その後不二シヨベルは右分割金の内三回分しか支払ができず残余の弁済資金がなかつたので、同社は本件建設機械を担保に他から金融を得ることを計画し、同社代表取締役宮本伝治が被告日本建設機械の大阪支店長渡辺徳太郎に対し「不二シヨベルに他から資金を融資してやるという者があるので、その者に対する手前必要であるから、本件建設機械を不二シヨベルが買取り所有権を取得した旨の虚偽の事実を記載した売渡証を作成してくれるよう。」申し入れたこと、これに対し右渡辺は、代金が完済されていないし、売渡証を交付するとこれを使用して不二シヨベルが本件建設機械に抵当権を設定するかもしれない旨の懸念があつたので、一旦右申し入れを断つたが、その後右宮本は、売渡証は知人や銀行に見せるだけである旨嘘の説明をして執拗に右要求を繰返したので、渡辺はなお疑懼があつたが一応宮本の言を信用して、その申し入れを承諾し、昭和三六年四月二七日前段認定の虚偽の事実を記載した売渡証(証拠)を作成してこれを宮本に交付したこと、右売渡証には「代金完済迄売主が所有権を留保する。」旨の特約がなされていることが付記されていないので、右売渡証を閲読した者に、不二シヨベルが本件建設機械の納入を受けると同時にその所有権を取得したと誤解を与える余地が十分あること、そこで、不二シヨベルは京都府知事に対し右売渡証を同社が本件建設機械の所有権者である旨の証明書として添付して、本件建設機械につきその打刻、検認手続を申請したところこれが受理され、当時打刻、検認がなされたので、これに基き不二シヨベルは同社所有名義に本件建設機械の保存登記を了したこと、そして即刻不二シヨベルは原告に対し本件建設機械は同社所有に属する旨虚偽の申出をし、これを担保に同社と保証委託契約を締結するよう申し入れたので、原告は不二シヨベルの言を信用して同社と前記保証委託契約及び根抵当権設定契約を締結し、その後同社が大和銀行から金員の貸付を受ける際その保証をなしたことが認められ、<証拠略>

右認定事実によると、前記渡辺徳太郎は、前記売渡証(証拠)作成当時前記宮本伝治の言動により右売渡証を同人に交付すると不二シヨベルがこれを使用して本件建設機械に抵当権を設定するかもしれないことを十分予想できたにもかかわらず、右宮本の前記嘘の逃口上を軽信して、不二シヨベルが本件建設機械の所有者であると誤信させるような前記虚偽の売渡証(証拠)を作成して同人にこれを交付したものであり、他方不二シヨベルが原告を欺罔して前記保証委託契約及び無効の根抵当権設定契約を締結させたのは同社が右売渡証<証拠>を右渡辺から取得したことによりなし得たものであるから、右渡辺は過失により、不二シヨベルの原告に対する右欺罔行為に加担したものといわねばならない。ところで、右渡辺が被告日本建設機械の被用者で、同被告が建設機械の売買及びその仲介を業とする会社であることは当事者間に争いがなく、同被告の大阪支店が被告日熊工機と不二シヨベル間の本件建設機械にかかる売買契約を仲介したことは前段認定のとおりであるから、右渡辺の売渡証<証拠>作成交付行為は被告日本建設機械の業務の執行としてなしたものであるといわねばならない。そうすると、同被告は使用者として右渡辺の右不法行為により原告が蒙つた損害を賠償すべき義務がある。(北浦憲二 林義一 山崎末記)

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